恋のお相手は小さな男の子



ーーーーー


暗くなった道をゆっくりとお腹を擦りながら歩く。


夕香と一緒に行ったケーキバイキングは、そりゃもう美味しくて、美味しくて、手が止まらなかった。


だから、お腹がはちきれそうだ。



「幸せ~、満腹~」



そう独り言を言っていると、ふと視界に昨日の公園が目に入った。


家に帰るまでの通り道にあるこの公園。


今日は、……あの少年は居ない。



まっ、当たり前か。


暗い時間にしょっちゅう家から出る小学生なんて居ないよね。



つい彼を探してしまった自分が可笑しくて、思わずふふっと笑い声が漏れる。



「今日もちょっとだけ寄っていこうかな」



そう口にすると、公園の入り口へと歩を進めていく。


公園に入ると、ブランコへ向かって進み、昨日と同じ様に腰を下ろした。


そして、空を仰ぐ。


暗い空にキラキラと輝く星。


もう少ししたら、もっとハッキリ星が見えるんだろう。冬の大三角形だって直ぐに見付けられる程に。


< 21 / 181 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop