恋のお相手は小さな男の子
「はあ…、静かだ」
私の独り言だけが響く。
そのせいか何だか寂しくなって、スマホでも見ようと鞄を開けた時、鞄の中にぐじゃっとなって入っていた紙に目が止まる。
夏休み明けにあった実力テストが、早いことに今日返ってきたのだ。
点数も見ずに、貰って直ぐに鞄へ突っ込んだんだった。
「あっ、そういえば、テスト何点だったんだろう?」
ぐじゃぐしゃのテストの解答用紙を手に取ると、ゆっくりと開いていく。
これは、……数学のテストだ。
パンッと開いた瞬間、点数が目に入り、
「なっ!」
思わずそう叫んでしまった。
そのまま呆然と目の前の解答用紙を見続ける。
これは、……ヤバい…かも。
そう思って背中をツーっと冷たいものが流れた時、今日も後ろから声が響いた。
「ひっどい点数」
ガバッと後ろを振り返れば、そこに居るのは昨日の少年で。
思い切り馬鹿にした顔をして私のテストの点数を見ている。