恋のお相手は小さな男の子
やっぱり居ないか。
佑真君、受験生だしね。学校終わったら塾だよね。
それにしても……。
公園で鬼ごっこをしているらしい子ども達へと目をやると、思わず溜め息が漏れる。
今、鬼ごっこをしている彼等と佑真君は、全然違う気がする。
佑真君、ムカつく位大人っぽいし。
高学年と低学年の差って言ったら、そんな気もしなくもないけど、それだけじゃない位差があるように思うのは私だけなんだろうか。
そんな事を考えながら、歩を止めてぼけっと公園を見ていると、
「あっ、ごめん!僕、そろそろ帰らなきゃ!」
「じゃあ、私も帰る!」
一人の男の子がそう言ったのを皮切りに、次々とベンチに置いていたランドセルを手に取って、公園を去っていく子供達。
その中で一人だけが、「バイバーイ」と去っていく皆に手を振りながら動かずにいる。
結局、数分もしない内に公園に残ったのは、手を振っていた小さな男の子だけ。
くりんっとした大きな目が可愛くて、女の子といっても頷けてしまう様なその男の子。
何故かその子が気になって、気付いたら公園に足を踏み入れてその子に声を掛けていた。