恋のお相手は小さな男の子
「葉月、何で居んの?」
そう言って和真君の手をとり、私に近付いてくる佑真君。
「佑真君は、……お兄ちゃんですか?」
「うん。僕のお兄ちゃん!」
私の質問に満面の笑顔で和真君が答える。
お兄ちゃんに会えた事がよっぽど嬉しいのだろう。
普通なら微笑ましい光景。
でも笑顔がひきつる。
まさか、まさか、……この純粋そのものの和真君のお兄さんが、子憎たらしい佑真君だなんて……。
信じられない。
「和真に馬鹿な事、吹き込んでないだろうな?」
「そんな事するわけないでしょうがっ!」
「どうだか」
私を馬鹿にしてフッと鼻で笑う佑真君と、その弟の和真君。
似ているといえば、顔は似ている。
性格は全く似てないけど!
どうしてこんなお兄ちゃんに憧れてしまったんだ!和真君!
もういっそ、和真君、目を覚まして!お兄ちゃんみたいになっちゃ駄目!と叫びたい。