恋のお相手は小さな男の子
そう思って口を開こうとした時、佑真君が面倒臭そうに溜め息を吐いた。
「友達とは言ってない。友達みたいなもんって事」
「一緒じゃん!」
「全然ちげぇよ。馬鹿葉月」
友達と、友達みたいなものの違いがいまいち分からない。
ああ、でもそんな事よりも……
また馬鹿って言ったよ、この子。
多分、佑真君の中での私のランクはかなり低いと思う。
心外だけど。
「和真、そろそろ帰るぞ」
「うん」
私が考え事をしている間にも、そんな会話をして帰ろうとしだす高橋兄弟。
だが、和真君が「あっ、そうだ!」と言うとくるっと向きを変えて、私の方へと駆けてくる。
そして私の目の前まで来ると歩を止めて、ニコッと笑って口を開いた。
「さっきからずっと思ってたんだけどね。葉月お姉ちゃんってうさぎに似てるね!」
「ほ、ほんと!?」
うさぎになんて嬉しい事を言われたから、興奮して和真君に真顔でグイッと顔を近付けてしまった。
そのせいでビクッと肩を揺らして「う、うん」と必死に頷く和真君は、明らかに私の行動にビックリしていると思う。