恋のお相手は小さな男の子



縺れる足のせいでふらついた瞬間、


「葉月ちゃん!」


三浦先輩の声が聞こえたが、私の視界には三浦先輩は映らない。


頭を掴まれて、佑真君の胸に押し付けられてしまったのだから。



心臓がバクバク鳴ってる。



「あのさ。こいつ俺の兄ちゃんの彼女だから。あんま話し掛けないでくれる」



そう佑真君が三浦先輩に言い放つと、再び腕を掴まれて引っ張られていく私。


そのままカランという音と共にドアの外へ。


外に出た瞬間、止まっていた頭が回りだす。



「あっ!お金!」



私、アイスミルクティーのお金払ってない!


これじゃあ、食い逃げ!?



そう思って慌ててカフェの中に再び入ろうとすると、佑真君が、


「金はテーブルに千円置いてきたから大丈夫」


ボソッとそう呟いた。



「そっか。良かった」



食い逃げ犯にならずに済んだ事にほっと胸を撫で下ろしたのも束の間、疑問が沸く。



その千円は誰のっすか?


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