恋のお相手は小さな男の子
「いやいやいや、誰のお金!?」
「俺の」
「そっか。なら、安心」
なーんだ。佑真君のか。
なら、安心。
「いやいやいや、お金払うよ!」
「要らねぇ」
「小学生の癖にジェントルマン気取らなくていいし!」
「気取ってねぇし!馬鹿葉月!俺が勝手に連れ出したから払うんだよ!何か文句あんのか!」
ギロッと私を睨み付けてそう言う佑真君は、完全に大人顔負けの迫力がある。
「いや。……ありません」
「おう」
小学生にビビってしまった…なんて、絶対言えない。
私、高校2年生なのに……。
「それよりもだよ!ゆ、ゆゆゆ佑真君。何用で!?っていうか、私、佑真君のお兄さんの彼女だったの!?いつから!?」
兎に角、ビビった事を誤魔化そうと話のすり替えをしてみたが、その瞬間佑真君が可哀想なものを見る目で私を見る。
「お前、ほんと馬鹿」
「な、何で!?」
今の疑問は、実際に不思議に思った事で。
私には一体いつ佑真君のお兄さんの彼女になったのか記憶に無い。
が、佑真君の反応を見るに、まさか、……忘れているのは私だけ。
私、……記憶喪失!!