恋のお相手は小さな男の子



佑真君が出ていったであろう出入り口へと顔を向けていると、グイッと畑野さんの顔が近付いてきた。



「君の名前は聞いてもいい?」



至近距離でこてんと首を傾げるその仕草に、思い切り動揺してしまった。



「な、ななな名前ですか!?」


「ダメ?」


「いやいやいや、全然オッケーですよ!わ、私は近藤葉月です」



自分でもビックリする程かみまくっているが、畑野さんはにこにこしたまま。


そして、


「葉月ちゃんか。可愛い名前だね」


そう言ってくる。



畑野さんのその言葉が嫌な位頭に響く。



「あ、……ありがとうございます」



お礼は伝えたけれども、私の顔はちゃんと笑えているかは疑問だ。



だって……。


だって、……畑野さんが言ったその言葉は、



……三浦先輩が言ってくれた言葉と全く同じだ。


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