恋のお相手は小さな男の子



小学生のくせに、さらっとそんな事言っちゃうなんて、……狡い。



しかも、


「これ、サンキューな!めちゃくちゃ嬉しい!」


そんな言葉と共に、無邪気にニカッと歯を見せて本当に嬉しそうにするからドキドキが止まらない。



今でこれだから、佑真君は絶対将来やたらと甘い言葉を吐く男になる気がする。


そうなったら、間違いなく私はコロッと心を持っていかれちゃうんだろうな。


今でさえ、こんなに心臓が煩いんだから。



「でも良かった。佑真君が象好きで」



嬉しそうに象の貯金箱を見ている佑真君を眺めながら、不意にそう漏らす。


が、私の言葉に気付いて私へと顔を向けた佑真君の眉間には皺が寄っている。



「いや、象はそこまで好きじゃねぇけどな」



凄く嬉しそうに象の貯金箱を見ていたくせに否定。


小学生の男の子だったら、象の貯金箱を喜んでくれる子は多いと思う。


でも、大人びた佑真君はそういうのが恥ずかしかったのかも。


< 99 / 181 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop