涙色のバレンタイン。
「咲原 菊…」
「ふぅん。いい名前じゃん。それじゃ家まで送る」
「え。でも」
「女は1人で歩いちゃダメなんだぜ」
凄い…、大雅クンが本当に傍にいるんだ。
それだけで涙が出そうだったけど、これは恋人練習であって本当は友達でも何でもない。
家まで結局送ってもらい、玄関に上がると涙がどっと溢れた。
「……なんで嘘、ついちゃったんだろ…」
あの時、大雅クンが好きだって言えていたら。
変な誤解もせずにいたのに…。