涙色のバレンタイン。
初めて「彼女」って言ってもらえて。
初めて「菊」って呼んでくれた。
それだけで胸が一気に、温かくなる。
「…ったく。だから俺、目立つの嫌いなんだよなぁ……」
「そうなの?」
「まぁ…、団体行動は嫌じゃないけどな。それじゃ、また休み時間な」
「あ、うん!」
大雅クンが隣の教室に入ろうとしたとき、あたしは呼び止めた。
「大雅クン、さっきはありがとうっ」
精一杯の笑顔、キミに届いたかな…?