涙色のバレンタイン。






病室いっぱいに、花弁が降り注いだ。


「やり直そう、バレンタインを」







――バレンタイン??




『ごめん、俺嫌いじゃないけど……』






大雅クンの昔言っていた言葉を思い出していく。





「菊、好きだよ」






そして、あたしは失恋をしていたことに気づく。


頭が痛くなって、涙が零れ落ちていく。




あの日、振られたはずの人が今ここにいる。



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