クリアスカイ
―夕方。
修二が会社を出たころ、外は雨が降り出していて夜を思わせるような薄暗さだった。会社勤めを終えた人々の群れをすり抜けるように修二は足早に家路を急いでいた。
特に用事もなかったのだが家につくと真っ先に風呂場へ向かった。仕事の疲れと蒸し暑さを一気にシャワーで洗い流しスッキリした心持ちで部屋に戻ると、冷蔵庫から缶ビールを出してリビングのソファに寝転がった。
暫く天井をみつめぼんやりしていたが、ビールを思い出して起き上がる。
プルタブをひいて、勢いよく流しこんだ。喉を通る冷たさとほろ苦さが一日の終りを告げて心地好い安堵感と疲労感に襲われた。
はあーっと深く息をついて再び仰向けになった。
そういえば須藤にまだ連絡をとっていない。
ふとそんなことを思い出して修二は携帯に手を伸ばした。普段連絡をとっていないから発信にも着信にも履歴はなく、仕方なく電話帳の機能から番号を呼び出した。
いつ登録したかもわからない見慣れぬ番号に少し不安を感じつつ発信してみる。解約などされていて繋がらなかったら。。と考えていると遮るようにコール音が聞こえた。
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