クリアスカイ

―金曜の午後六時半。

街は週末ということもあり早くも人波で溢れ返っていた。
修二は予定どおり定時刻で無事仕事をおえ、一旦家に戻って再び街中へと急いでいた。
駅前の少し外れにある居酒屋が今日の約束の場所だ。割と人気の店だがアツシから予約をしてあるからと連絡をうけていた。
幾分歩くスピードを緩めたのは店の前に立っているアツシを見つけてからだった。
「おっ、修二！」
修二より先にアツシがきづいた。
「悪ぃ。俺、遅刻？」
「大丈夫。まだあの二人来てないし。」
暫くぶりに見るアツシは、すこぶる上機嫌ですでに酒が入ってるかのようなテンションだった。
「先に中で待ってるか。」
アツシは人混みを見渡すと修二を促し店の扉をあけた。


店内は既に満席に近いほど込みあっていた。ガヤガヤと騒がしい店内をアツシと修二は店員に案内され、奥まった位置の予約席へと辿りついた。四人がけのテーブル席にとりあえず向かいあった形で座る。
隣のテーブルは30代半ばくらいのサラリーマン風の二人が楽しげに酒をつぎあっていた。
「修二、何飲む？」
アツシはメニューを広げた。
「あぁ…んじゃ、生ひとつ。」
アツシは手際良く注文すると携帯を取り出した。
「もうそろそろ来るはずだけどな〜。」
時間を確認して呟く。修二は煙草をとりだし火をつけながら入り口方向を見る。
「あ、来た。かも…」
修二の言葉にアツシは椅子ごと後ろを振り向き立ち上がった。
入り口付近で何やら店員と言葉を交していた二人組はアツシの存在にきづくと、そのまま奥へと向かってきた。
「ひっさしぶりー。」
3年ぶりに会うつー君がにこやかに声をあげた。
その後ろから須藤が「よぉ。」と言葉少なに顔を覗かせる。
変わってない。
修二の素直な感想だった。
「修二〜！元気だったか？」
つー君は修二の横に座ると肩を叩く。
「見ての通りだよ。つー君こそ元気そーじゃん。」