クリアスカイ

つー君は金髪に近い髪を揺らして「チョー元気！」と無邪気に笑った。
「とりあえず何か飲みもん頼んで！」
アツシが大声でわめきながら隣の須藤にメニューを押し付ける。
「アツシ、うるさい。」

ブハッと修二とつー君は同時に吹き出した。
「修二っ！今の懐かしくね？」
「俺も思った！」
高校の頃、アツシと須藤のやりとりはいつもこんな感じだった。
アツシはショックを隠しきれない様子で
「須藤〜っ、お前3年ぶりに会ったのに一言めがそれかよっ！」
須藤の体を揺すった。
「あ、すいません。生2つ追加で。」
須藤はアツシを無視して通りかかった店員を捕まえ注文する。アツシはテーブルに突っ伏して「またシカトー！」とくやしがる。

つー君が声をあげて笑っていた。
「須ー藤っ、アツシがかわいそうだからあんまいじめんなよ。」
つー君の言葉に須藤はアツシに振り向き、ぺしっと頭を叩く。
「うわっ、何？俺、無視された挙げ句叩かれたっ？」アツシがわめいた。須藤はニヤリと笑うと
「お前、ホント相変わらずすぎ。」

須藤はクールで興味のない相手には自分から近づく事はしない。昔からそうだった。笑いかけるなんてもってのほかだ。だからアツシに冷たいのも須藤なりに心を許してる証拠だ。


修二の中で3年という月日が一瞬で埋まっていくのがわかった。特別な挨拶なんていらない、教室で毎日顔をあわせていたあの頃と少しも変わらない自然な空気が流れていた。
変わった事があるとすれば須藤の黒かった髪が茶色に染まっている事ぐらいだ。