クリアスカイ

「しっかし、変わってねーな、みんな。」
つー君が改めて声をあげた。
「つー君、いつ帰ってきた？」
須藤が口を挟んだ。
「えーっと、アツシと偶然会った一週間くらい前かな。」
煙草をとりだしながら答える。そして思い出したように笑い出した。
「アツシ見てすーぐわかったよ。あの頃のまんま！」
「わかる、わかる。無駄に歳だけとってるよな。」
修二がつけ加えると須藤も耐えきれず笑った。
「なんだよ、お前らっ。あんまりじゃね？」
アツシは半ばふてくされ気味で溜め息をつく。
つー君は煙草の煙をアツシに向かってふきかけると
「いいじゃん、変わってなくて俺は嬉しかったよ？」
「つー君……！」
アツシは抱きつかんばかりに身をのりだしたが、つー君は「そこは勘弁。」とするりと交した。
行き場を失ったアツシの両手は結局そのままメニューへと伸ばされた。


ほどなくしてビールが運ばれてきた。つー君が咳払いをして
「じゃ、再会記念に乾杯すっか！」
と仕切り直すと、アツシは無意味な拍手を送る。
全員ジョッキを片手に持ち、つー君の言葉を待った。
「そんじゃあ、3年ぶりに乾杯〜っ！」
ジョッキのぶつかり合う音が響いた。はしゃいで勢いよくぶつけたアツシのビールが弾みでこぼれ落ちた。
「おーい、アツシぃ。俺まで濡れた。」
須藤がはおっていたシャツの袖をひっぱり文句をいう。
「おっと、悪い悪い。えっと、おしぼりは〜♪」
先ほどまでみんなにいじられへこんだ素振りをみせていたアツシは乾杯の合図と共にすっかりテンションがMAXをふりきっていた。
おしぼりでゴシゴシ須藤の服をこすりはじめる。
「つーか、そこじゃねぇし。もういい、よこせ。」
須藤はおしぼりをうばいとると自ら服をふいた。アツシは苦笑いで頭を掻きながら須藤の作業を見守っていた。……はずだったが。
「おいっ、須藤！！何、これっっ！」
突然立ち上がり須藤の左手をガッチリ掴んだ。
話しこんでいた修二とつー君も思わず二人に目をやる。
「は？何ってなんだよ。」