クリアスカイ
日付けが変わる頃、四人は店をでた。
といってもアツシは修二とつー君に脇を抱えられ、ひきずられていたのだが。
歩道脇のベンチにアツシを転がすと、
「さて、コイツどうすっか。」
と見下ろした。
外は酒でほてった体に心地好い夜風が吹いていた。
修二はとりあえずベンチの端に座ると煙草をすいはじめた。
「須藤は家へいきなの?」
つー君が聞いた。
「あぁ。みんなが解散すんなら帰るけど。」

修二は仕方なく立ち上がると
「じゃあ、俺がアツシ連れて帰るわ。」
「お前んとこ泊める?」
「あぁ。その方が安全じゃね?」
修二の言葉に二人は納得した。
週末におしかけられる事に慣れっこの修二にとって、アツシを一人で帰す心配に比べたらリビングにでも転がっていてくれた方がよほど安心だった。

つー君がタクシーを拾ってくれて、何とかアツシを押し込むと修二も乗り込む。
「じゃ、悪いけどお先に。」

「おう。今日はありがとな。」
「また連絡するよ。」
「はいよー。お疲れさーん。」
窓越しにつー君が手を振った。
須藤も手をひらひらさせ、二人に見送られタクシーは走りだした。


行き先を告げ、修二はようやく息をついた。相変わらず眠りこけているアツシを見ながら、今日を振り返る。
会って良かったと思っていた。忘れてしまっていたいろいろな記憶や感情が一気に溢れだしたような夜だった。
アツシが張り切って計画しなければおそらく今夜の四人は再会できなかったかもしれない。少しだけ感謝したからアツシの面倒をひきうけてしまったのだろう。



―そして、この日を境に四人の関係は急速に変化していった。
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