クリアスカイ
修二は息を整えながらつー君を見据えた。
ひどく久しぶりのような気がした。
「リーマン姿の修二だ〜。」
つー君は少しだけ笑ってバツが悪そうに目をそらした。隣にいた女に「先行ってて。」と言うと、女は修二を怪訝そうな顔で見ながらも歩いていった。




つー君は無言のまま真横にある路地へ歩いて行った。修二も黙って後をついていく。
飲み屋が軒を連ねる少し手前でつー君は古ぼけたベンチに腰を下ろした。
修二が何か言おうとするより先につー君が口を開いた。
「ごめん…。」
「今までどうしてたんだよ。」
「…ちょっと、いろいろあって。」
つー君は伏し目がちに言った。修二は鞄をベンチに放り投げた。
「アツシは?」
少し間があいた。
「アツシは…女のとこにいるよ。」
「女?」
「うん、サキって子。」
修二の脳裏にその聞き覚えのある名前が響いた。
「それって、キャバクラの?」
「覚えてたんだ」とつー君は頷いた。

修二は、はぁっと深く溜め息をついた。
安堵感とぶつけどころのない怒りがこみあげてくる。
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