クリアスカイ
仕事を定時で切り上げ、足早に会社を出ようとした所で修二は後ろから肩を掴まれた。
驚いて振り返ると、息をきらした浅井が立っていた。
「良かった、追い付いて…。」
「浅井さん……。」
「これ、気休めにしかなんないかもしれないけど良かったら。」
手渡されたのは見た事のないパッケージのドリンク剤だった。
「わざわざこれを?」
修二が言うと、浅井は頭を掻いて、
「うちの実家、薬局やっててね。たまにまとめて送ってくるんだよ。疲れてる時なんか良く効くよ?」
修二はドリンク剤片手に走ってきた浅井の優しさに張りつめていた糸がほぐれたように笑みを浮かべた。
「いいんすか?もらっちゃって。」
「もちろん。残業疲れの時用に何本か引き出しにストックしてあってね。」
浅井はニッコリと笑った。

修二は礼を言って鞄にそれをしまった。
「ところで具合いは落ち着いた?」
浅井が少し心配顔で尋ねる。
「あ、はい。何とか。」
今度は嘘ではなかった。頭痛はおさまっていたし、眠気もピークを越えたのか朝ほどの辛さはなかった。
「それなら良かった。」と浅井は頷いた。
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