クリアスカイ
振り返った須藤は修二を見て、「なんつー顔してんだよ。」とふきだした。
しかし眉をひそめたままでいる修二に笑いを止めると携帯をいじりながら、
「だいぶ気持ちの整理はついてきたよ。」
と言った。そして携帯の画面を修二に差し出す。
そこにはメールの受信ボックスが開かれていて
『ご飯できたよー』の文面と笑顔の絵文字が並んでいた。さきほど届いたメールは奥さんからのものだったようだ。
須藤は携帯を閉じた。
「俺は、後悔なんてしてないから。」
いつもと同じようにさらっと言った言葉は、須藤の気持ち全てが詰まっているように聞こえた。
修二は肩の力が抜けたようにふっと笑うと、
「じゃあ、また今度。」
とだけ言った。
頷いた須藤はドアを開け、体半分でかけた所で振り返る。

「きっとアツシもわかってくれるよ。」
一言いって、手を軽くあげて出ていった。
ガチャリとドアが閉まる音がして足音が遠のいていく。

修二は静かになった家の中でその場にたちつくしていた。
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表紙・目次

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