クリアスカイ
それをアツシに話してやると、目の色をかえた。
「結婚って須藤が!?うわぁ、先越されたよっ。」
相手もいないアツシが悔しがる意味が修二にはサッパリわからなかった。
「ま、でも結婚したとしても久しぶりに会うくらい問題ないんじゃね?」
修二が言うと、アツシは頷き
「よーし、そうと決まれば早急に段取るからっ。俺、幹事やるし!俄然、もりあがってきたぞーっ♪」
いつもののらりくらりとしたアツシは姿を消し、妙に張りきりだした。
携帯をとりだし何かブツブツ言いながら操作している。おそらくつー君宛てにメールでも打ってるのだろう。修二はほとんど氷だけになったコーラを飲み干すとぼんやりとまた外を眺めた。急にプチ同窓会のような話が浮上したせいか、高校時代の記憶が蘇ってくる。きづけばもう卒業して3年も経っているのだ。
いつのまにか社会に馴染んで、忙しさや環境の変化から高校の頃の事を思い出す時間も減って、会わなくなっても次第に慣れていった。めんどくさがりな性格も手伝って、いちいち近況報告などするわけでもなく本当に自然に連絡をとらなくなっていた。
「まじで?オッケー!」
アツシのはしゃいだ声にはっとして目をやると、いつのまにか電話をしていた。会話の流れから相手がつー君だとわかる。
アツシの嬉しそうな顔からして、プチ同窓会の計画は確定したようだ。
とはいっても、なにせ急な話だった為さすがに日にちまでは決まらず、近々つー君からまた連絡がくるようなニュアンスで会話は終了したようだ。
アツシはとても成人した男とは思えないほど満面の笑みで
「須藤の連絡先は修二しってんだろ?日にち決まったら連絡しろよ。」
と言った。
修二は「わかったよ。」と頷いた。須藤が来れるかはわからないが、実現すればそのメンツは3年ぶりだ。単調な日々に少し違う波が押し寄せるような感覚は悪い気がしなかった。
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