セカンド☆ライフ
『そんな突拍子もない話を信じろと?』
あれから何時間経っただろうか、俺達はこの男、佐和田 勝紀(サワダ マサノリ)の尋問を受けている。
下手な嘘が通用する相手とも思えなかったので正直に話したが…
交渉は難航中だ。
『そんなに突拍子ないですかね?』
『ないな』
『どの辺が?』
『まずお前の話が本当なら、お前ばセカンドになってまだ二週間ほど…そうだな?』
『そうですよ?』
『普通は二週間やそこらじゃ他のセカンドの存在を認知できはしない、例え誰かに教わったとしても、だ』
『んなこと言われてもなぁ…』
『普通は”見る“だけで数ヶ月、ましてやリンクなど数百年単位でもほんの一握りしかできん』
『普通にできちゃったしなぁ』
『数十年セカンドをやっているが、数日で”見た“なんて話も、リンクができる輩もホルダーからの帰還も…見たことも聞いたこともない』
『じゃぁ今が嬉し恥ずかし初体験ってことで』
『ふざけてるのか?』
『真面目だよ』
『そっちの娘の話も眉唾だ』
『私!?…ですか?』
『ホルダーになるには最低でも十年以上のノイズの蓄積が必要だ、一年二年でホルダーになられてたらセカンドライフはホルダーだらけだ』
(そうだったのか…)
『……………』
詩乃は黙りこんでしまった。
『あ!ねぇ佐和田さん、佐和田さんのノイズを俺が取り除くってのはどう?』
『なんだと?』
『論より証拠、オッサンのために頑張れるかは疑問だけど、上手くいけば俺達は潔白を証明できるし、佐和田さんも助かる、一石二鳥でしょ?』
『本気か?』
『ん〜、しのちゃんしだいかな』
『え?私?』
『上手くいったら例のご褒美を…』
『わ…わかった…』
『よっしゃオッサンすぐやるぞ今やるぞ早くやるぞ!』
『まずはフォローか?』
『おう』
目を閉じて目の前のオッサンを強く思い描く。
不本意である。
スッとオッサンが体を通り抜けた感覚。
詩乃の時とは違い非常に不快だ。
『あぁ…なんか加齢臭が…』
『次は?』
(スルーか…鋼のハートだなこのオッサン)
『うん、佐和田さんの気配は覚えた、これならリンクできる』
『始めろ』
(へいへい…リンク!っとな)
目の前が真っ暗闇になった。
(あれ?なんかしのちゃんの時と違う…)
(そうなの?)
(うん、しのちゃんの時はこんなに静かじゃなかった…ってしのちゃん!?)
(ん?)
(なんでしのちゃんまでリンクしてんの!?)
(え?ゆいりくんがやったんじゃないの?)
(俺!?俺なの!?)
(わかんない…)
(う〜ん…まだリンクを制御できてないのかな?)
(ここは間違いなく佐和田さんの中なの?)
(あぁ、うん、それは間違いないと思う、かすかに加齢臭的な何かを感じるし)
(加齢臭的な何かって加齢臭じゃないの?)
(加齢臭ではあるけどセカンド的加齢臭とでも言うか、加齢臭だけど加齢臭じゃないんだよ、嗅覚ないし)
(そっか、嗅覚で感じる加齢臭じゃなくて、魂?で感じる加齢臭なんだね)
(そうそう、そんな加齢臭的な何かを…)
『加齢臭加齢臭うるさいぞお前ら!!』
『うおっ!』『ひゃっ!』
『あれ?リンク切れた?』
『物理干渉だ、俺がお前らを追い出した』
『そんなことできんのか』
『らしいな』
『すげぇなノイズ…ってかそれじゃ俺らの潔白を証明できないじゃん』
『いや、じゅうぶんだ』
『へ?』
『少なくともお前がリンクを使えることは証明された、お前の話を信じる要素としてはじゅうぶんだ』
『あぁそっか』
『それに、リンクしたことでお前達が嘘を言っていないとわかった』
(加齢臭の話しかしてないけどな)
『あ、でもそれじゃ佐和田さんのノイズを払ってやれねぇじゃん』
『かまわん、今の俺にはまだノイズは必要だ』
『ノイズが必要?』
『リンクを使った救済ができることはわかった、しかし、救済に値しないホルダーもいる、そいつを喰うために俺にはまだノイズがいる』
『救済に値しないって…』
『この街には人を喰らうために自ら望んでホルダーになった殺人鬼がいる』
『はぁ!?なんだそれ!?』
『俺はそいつに愛する人を喰われた、その怒りで俺もまたホルダーとなった、そんなやつらが集まってできたのが【遺族会】だ』
『遺族会…』
『お前に会わせたい人がいる』
『誰?』
『遺族会のリーダーだ』
あれから何時間経っただろうか、俺達はこの男、佐和田 勝紀(サワダ マサノリ)の尋問を受けている。
下手な嘘が通用する相手とも思えなかったので正直に話したが…
交渉は難航中だ。
『そんなに突拍子ないですかね?』
『ないな』
『どの辺が?』
『まずお前の話が本当なら、お前ばセカンドになってまだ二週間ほど…そうだな?』
『そうですよ?』
『普通は二週間やそこらじゃ他のセカンドの存在を認知できはしない、例え誰かに教わったとしても、だ』
『んなこと言われてもなぁ…』
『普通は”見る“だけで数ヶ月、ましてやリンクなど数百年単位でもほんの一握りしかできん』
『普通にできちゃったしなぁ』
『数十年セカンドをやっているが、数日で”見た“なんて話も、リンクができる輩もホルダーからの帰還も…見たことも聞いたこともない』
『じゃぁ今が嬉し恥ずかし初体験ってことで』
『ふざけてるのか?』
『真面目だよ』
『そっちの娘の話も眉唾だ』
『私!?…ですか?』
『ホルダーになるには最低でも十年以上のノイズの蓄積が必要だ、一年二年でホルダーになられてたらセカンドライフはホルダーだらけだ』
(そうだったのか…)
『……………』
詩乃は黙りこんでしまった。
『あ!ねぇ佐和田さん、佐和田さんのノイズを俺が取り除くってのはどう?』
『なんだと?』
『論より証拠、オッサンのために頑張れるかは疑問だけど、上手くいけば俺達は潔白を証明できるし、佐和田さんも助かる、一石二鳥でしょ?』
『本気か?』
『ん〜、しのちゃんしだいかな』
『え?私?』
『上手くいったら例のご褒美を…』
『わ…わかった…』
『よっしゃオッサンすぐやるぞ今やるぞ早くやるぞ!』
『まずはフォローか?』
『おう』
目を閉じて目の前のオッサンを強く思い描く。
不本意である。
スッとオッサンが体を通り抜けた感覚。
詩乃の時とは違い非常に不快だ。
『あぁ…なんか加齢臭が…』
『次は?』
(スルーか…鋼のハートだなこのオッサン)
『うん、佐和田さんの気配は覚えた、これならリンクできる』
『始めろ』
(へいへい…リンク!っとな)
目の前が真っ暗闇になった。
(あれ?なんかしのちゃんの時と違う…)
(そうなの?)
(うん、しのちゃんの時はこんなに静かじゃなかった…ってしのちゃん!?)
(ん?)
(なんでしのちゃんまでリンクしてんの!?)
(え?ゆいりくんがやったんじゃないの?)
(俺!?俺なの!?)
(わかんない…)
(う〜ん…まだリンクを制御できてないのかな?)
(ここは間違いなく佐和田さんの中なの?)
(あぁ、うん、それは間違いないと思う、かすかに加齢臭的な何かを感じるし)
(加齢臭的な何かって加齢臭じゃないの?)
(加齢臭ではあるけどセカンド的加齢臭とでも言うか、加齢臭だけど加齢臭じゃないんだよ、嗅覚ないし)
(そっか、嗅覚で感じる加齢臭じゃなくて、魂?で感じる加齢臭なんだね)
(そうそう、そんな加齢臭的な何かを…)
『加齢臭加齢臭うるさいぞお前ら!!』
『うおっ!』『ひゃっ!』
『あれ?リンク切れた?』
『物理干渉だ、俺がお前らを追い出した』
『そんなことできんのか』
『らしいな』
『すげぇなノイズ…ってかそれじゃ俺らの潔白を証明できないじゃん』
『いや、じゅうぶんだ』
『へ?』
『少なくともお前がリンクを使えることは証明された、お前の話を信じる要素としてはじゅうぶんだ』
『あぁそっか』
『それに、リンクしたことでお前達が嘘を言っていないとわかった』
(加齢臭の話しかしてないけどな)
『あ、でもそれじゃ佐和田さんのノイズを払ってやれねぇじゃん』
『かまわん、今の俺にはまだノイズは必要だ』
『ノイズが必要?』
『リンクを使った救済ができることはわかった、しかし、救済に値しないホルダーもいる、そいつを喰うために俺にはまだノイズがいる』
『救済に値しないって…』
『この街には人を喰らうために自ら望んでホルダーになった殺人鬼がいる』
『はぁ!?なんだそれ!?』
『俺はそいつに愛する人を喰われた、その怒りで俺もまたホルダーとなった、そんなやつらが集まってできたのが【遺族会】だ』
『遺族会…』
『お前に会わせたい人がいる』
『誰?』
『遺族会のリーダーだ』