セカンド☆ライフ
『僕は村瀬 純流(ムラセ スミル)、享年29歳、純流って呼んでくれていいよ』
『水辺 唯里、さっきまで17歳の高校生でした』
『よろしくね、唯里君♪』
『はぁ』
俺達は空中を漂いながら簡単な自己紹介を交わした。
『さっきの場所、唯里君の現場だよね?』
(現場って…)
『そう…なりますね』
『ホヤホヤだね♪どう?死んだ気分は』
(ほ…ホヤホヤ…)
『どうと言われても…よくわからないです』
『うんまぁ最初はそうだよね』
(わかってるなら聞くなよ…)
『それであの…悲観する必要はないってのは…』
『あぁそうだったね』
そう言うと純流さんは俺の全身をまじまじと眺めた。
『えっと…純流…さん?』
『制服』
『え?』
『唯里君は今、制服を着てるよね?』
『まぁ通学中でしたからね』
『脱げる?』
『え?』
『制服、脱いでみて』
(そっちの人か!?)
『いやそっちはちょっと…』
『違う違う、そういう意味じゃないない』
(違うのか…よかった…)
『あれ?』
脱げない。
脱ごうとしてもすり抜けてしまい、服にも自分の体にも触れない。
『脱げないよね』
『脱げません…』
『でも着替えることはできる』
そう言うと純流さんの服装が一瞬で変わった。
『え?なにそれ?え?えぇ!?』
純流さんの服がコロコロと変わっていく。
そして俺と同じ制服姿になった。
『僕達が何か?それは僕にも解らない。生きてる人間には僕達が見えていない、声も聞こえない、触ることもできない』
純流さんは俺の腹部に腕を通したり抜いたりして遊んでいる。
『ちょっとそれ…やめてください…』
『ハハ、僕達の体はね、僕達自身のイメージなんだ』
『イメージ?』
『老人をイメージすれば老人の姿に、赤ん坊なら赤ん坊に、女性にも別の動物にもなる』
『自身の想像通りになるんですね?』
『そういうこと♪ただし、知らないモノにはなれない』
『知らないモノはイメージのしようがないですからね…』
『察しが良くて助かるよ♪』
『どうも…』
『そして今、僕達は空中を浮遊している…つまり僕達は物理的な法則の外にいることになる』
『そうですね』
『だからこんなこともできる…ついてきて』
純流さんは近くのマンションの窓をすり抜けて部屋の中へ入っていった。
俺も言われるがままついていく。
通れないはずのモノをすり抜ける感覚はなんとも言えず不気味だ。
部屋の中では今まさに若い女性が着替えている最中だった。
『ちょっ!!』
『大丈夫、彼女は僕達の存在を知覚できないよ』
『いや、だからってこれは…』
『悪くないだろ?』
『いや…えっと…』
『唯里君は真面目だね♪』
(爽やかな笑顔がなんかムカつく…)
『悲観する必要はないって、こういう意味ですか?』
『これは一環だよ♪こういう楽しみ方もある、ってだけさ』
『楽しみ方って…』
『うん、楽しみ方、【セカンドライフ】のね』
『セカンドライフ?』
『僕達がなんなのかは解らない、でもなんであれこうして存在している。自我を持って存在している以上、生きてることとどれほどの違いがあるんだい?』
『違い…』
『僕達は便宜上、セカンドライフを生きる者、【セカンド】と自分達を呼んでる』
『ん?僕達?他にもいるって…いや、純流さんがいるってことは他にもいるって考えたほうが自然か…』
『唯里君は賢いね♪生きてる人間…僕らは便宜上【ファースト】と呼んでるけど、ファーストが知覚できないだけで、セカンドはたくさんいるよ』
『天国や地獄?』
『僕の知る限りそんなものはないね』
『俺はこれからどうなるんですか?』
『どうにもならないさ、どうにもならないし、どうにでもできる』
『えらくアバウトですね…』
『人生って、そんなもんだろ?♪』
『まだ子供なんでわかんないですよ…』
『ハハ、外に出ようか』
着替えを終えた女性はベッドに腰掛けテレビを見ている。
『あぁ、はい』
外に出ると純流さんはどんどん上昇していく。
俺も後を追って上昇する。
眼下に広がる街並みがどんどん小さくなっていく。
『どうだい?ここから見れば君がファーストとしての生を終えた場所も豆粒だ』
『なんか自分が豆粒って言われてるみたいで嫌です…』
『ふふ、そうだよ、僕達は豆粒だ。豆粒の小さな悩みなんてこの世界ではなんの意味もない』
両手を拡げる純流さん。
まるで世界を背負っているようで、背後の雲がまるで翼のようで、どこか神々しくもある。
『ハッピーバースデー!第二の人生を謳歌しよう!』
(第二の人生…か)
『…はい!』
どこまでも広がる青い空。
その時の俺は、その空を手に入れたような錯覚を覚えた。
『水辺 唯里、さっきまで17歳の高校生でした』
『よろしくね、唯里君♪』
『はぁ』
俺達は空中を漂いながら簡単な自己紹介を交わした。
『さっきの場所、唯里君の現場だよね?』
(現場って…)
『そう…なりますね』
『ホヤホヤだね♪どう?死んだ気分は』
(ほ…ホヤホヤ…)
『どうと言われても…よくわからないです』
『うんまぁ最初はそうだよね』
(わかってるなら聞くなよ…)
『それであの…悲観する必要はないってのは…』
『あぁそうだったね』
そう言うと純流さんは俺の全身をまじまじと眺めた。
『えっと…純流…さん?』
『制服』
『え?』
『唯里君は今、制服を着てるよね?』
『まぁ通学中でしたからね』
『脱げる?』
『え?』
『制服、脱いでみて』
(そっちの人か!?)
『いやそっちはちょっと…』
『違う違う、そういう意味じゃないない』
(違うのか…よかった…)
『あれ?』
脱げない。
脱ごうとしてもすり抜けてしまい、服にも自分の体にも触れない。
『脱げないよね』
『脱げません…』
『でも着替えることはできる』
そう言うと純流さんの服装が一瞬で変わった。
『え?なにそれ?え?えぇ!?』
純流さんの服がコロコロと変わっていく。
そして俺と同じ制服姿になった。
『僕達が何か?それは僕にも解らない。生きてる人間には僕達が見えていない、声も聞こえない、触ることもできない』
純流さんは俺の腹部に腕を通したり抜いたりして遊んでいる。
『ちょっとそれ…やめてください…』
『ハハ、僕達の体はね、僕達自身のイメージなんだ』
『イメージ?』
『老人をイメージすれば老人の姿に、赤ん坊なら赤ん坊に、女性にも別の動物にもなる』
『自身の想像通りになるんですね?』
『そういうこと♪ただし、知らないモノにはなれない』
『知らないモノはイメージのしようがないですからね…』
『察しが良くて助かるよ♪』
『どうも…』
『そして今、僕達は空中を浮遊している…つまり僕達は物理的な法則の外にいることになる』
『そうですね』
『だからこんなこともできる…ついてきて』
純流さんは近くのマンションの窓をすり抜けて部屋の中へ入っていった。
俺も言われるがままついていく。
通れないはずのモノをすり抜ける感覚はなんとも言えず不気味だ。
部屋の中では今まさに若い女性が着替えている最中だった。
『ちょっ!!』
『大丈夫、彼女は僕達の存在を知覚できないよ』
『いや、だからってこれは…』
『悪くないだろ?』
『いや…えっと…』
『唯里君は真面目だね♪』
(爽やかな笑顔がなんかムカつく…)
『悲観する必要はないって、こういう意味ですか?』
『これは一環だよ♪こういう楽しみ方もある、ってだけさ』
『楽しみ方って…』
『うん、楽しみ方、【セカンドライフ】のね』
『セカンドライフ?』
『僕達がなんなのかは解らない、でもなんであれこうして存在している。自我を持って存在している以上、生きてることとどれほどの違いがあるんだい?』
『違い…』
『僕達は便宜上、セカンドライフを生きる者、【セカンド】と自分達を呼んでる』
『ん?僕達?他にもいるって…いや、純流さんがいるってことは他にもいるって考えたほうが自然か…』
『唯里君は賢いね♪生きてる人間…僕らは便宜上【ファースト】と呼んでるけど、ファーストが知覚できないだけで、セカンドはたくさんいるよ』
『天国や地獄?』
『僕の知る限りそんなものはないね』
『俺はこれからどうなるんですか?』
『どうにもならないさ、どうにもならないし、どうにでもできる』
『えらくアバウトですね…』
『人生って、そんなもんだろ?♪』
『まだ子供なんでわかんないですよ…』
『ハハ、外に出ようか』
着替えを終えた女性はベッドに腰掛けテレビを見ている。
『あぁ、はい』
外に出ると純流さんはどんどん上昇していく。
俺も後を追って上昇する。
眼下に広がる街並みがどんどん小さくなっていく。
『どうだい?ここから見れば君がファーストとしての生を終えた場所も豆粒だ』
『なんか自分が豆粒って言われてるみたいで嫌です…』
『ふふ、そうだよ、僕達は豆粒だ。豆粒の小さな悩みなんてこの世界ではなんの意味もない』
両手を拡げる純流さん。
まるで世界を背負っているようで、背後の雲がまるで翼のようで、どこか神々しくもある。
『ハッピーバースデー!第二の人生を謳歌しよう!』
(第二の人生…か)
『…はい!』
どこまでも広がる青い空。
その時の俺は、その空を手に入れたような錯覚を覚えた。