セカンド☆ライフ
特に理由はないが、久しぶりに実家に戻ってきた。
俺の部屋は片付けられることもなく、俺が生きてた頃と何も変わらない。
(ん〜、せめてパソコンには触りたいなぁ…見られたくないデータとかあるし…)
カチャ…
突然部屋のドアが開き、姉が入ってきた。
(姉ちゃん?俺の部屋で何を?)
姉は俺の机に腰掛け、パソコンの電源を入れた。
我が家にはパソコンは俺の部屋にしかない。
俺以外の家族は電化製品に疎い。
テレビの配線等ももっぱら俺の仕事だった。
(姉ちゃん?一人でパソコンいじれるのか?壊すなよ?つか変なとこ開くなよ?俺の大事なコレクションとか…)
見られてしまうと人間性を疑われそうなコレクションの心配をしていると、姉は慣れた様子でネットを始めた。
(調べものか?)
背後からディスプレイを覗き込む。
そこに映し出されていたのは…
(なになに…死後の世界について教えます…?嘘くさっ!)
…人は死後、新たな人生を歩み出します。
…そこでは、今生きている人間をファースト、死者をセカンドと呼び分けています。
(これって…)
…目に見えないだけで、セカンドはそこら中に存在しています。
…だから悲しまないで、あなたの愛する人は今もセカンドとなってあなたの傍に存在しているのです。
「そうなの?唯里…」
大粒の涙を流しながら、姉が小声で呟いた。
(姉ちゃん…)
俺自身、セカンドライフを送れていて、こうして家族にも一方的にではあるが会えているため実感が希薄だったが、やはり俺は死んでいて、遺された人達は深い悲しみを抱えていた。
(喧嘩ばっかしてたけど…やっぱ姉弟なんだな俺達…)
「唯里…そっちで楽しくやってる?お姉ちゃんね、失恋しちゃったよ…」
(俺も…失恋…かな?)
「浮気されてたの…と言うかあたしが浮気相手だったの…」
(あちゃぁ…)
「ただでさえ唯里が死んじゃって辛いのに…その上失恋って…不幸は重なるもんだね…」
(その不幸の一つである俺が言うのもなんだけど…元気出せよ…)
「セカンドか…お姉ちゃんも死んだらセカンドになれるのかな…」
(え?姉ちゃん?)
「死にたいなぁ…」
『は?ダメだって!』
「お母さん…悲しむよね…」
『うんうん!悲しむよ!』
(父さんもね!)
「でもね…辛いよ…」
『大丈夫だって!姉ちゃんならまたすぐ新しい彼氏できるって!』
姉が俺の机の引き出しを物色し始める。
『姉ちゃん?何してんの?エロ本なんて隠してないよ?』
姉は引き出しの中からカッターナイフを取り出した。
『おいおいおいおい!』
チキチキチキチキ…
カッターの刃を伸ばす。
『待て待て待て待てって!』
「お母さんごめんね…」
『ヤバいヤバいヤバいヤバい!!』
姉が手首に刃を当てる。
『やめろってこのバカ姉ぇぇぇぇぇっ!』
バシッ!
乾いた音を立てパソコンのディスプレイが割れる。
「ひゃぁ!」
『なんだ!?』
姉は驚き、カッターナイフを床に落とした。
「ゆい…り?唯里なの!?」
『お…俺?俺なの!?』
「そんなわけないよね…」
『んなわけねぇよな…』
「あ〜あ、死に損ねちゃったぁ…」
『あ〜あ…ディスプレイが…』
姉は深くため息をつき、部屋を出て行った。
俺は割れたディスプレイを眺めながら呆然としていた。
(偶然?にしちゃ出来すぎてないか?自然に割れるもんでもねぇしなぁ…)
答えの見つからぬまま、割れたディスプレイを見つめ続けた。
俺の部屋は片付けられることもなく、俺が生きてた頃と何も変わらない。
(ん〜、せめてパソコンには触りたいなぁ…見られたくないデータとかあるし…)
カチャ…
突然部屋のドアが開き、姉が入ってきた。
(姉ちゃん?俺の部屋で何を?)
姉は俺の机に腰掛け、パソコンの電源を入れた。
我が家にはパソコンは俺の部屋にしかない。
俺以外の家族は電化製品に疎い。
テレビの配線等ももっぱら俺の仕事だった。
(姉ちゃん?一人でパソコンいじれるのか?壊すなよ?つか変なとこ開くなよ?俺の大事なコレクションとか…)
見られてしまうと人間性を疑われそうなコレクションの心配をしていると、姉は慣れた様子でネットを始めた。
(調べものか?)
背後からディスプレイを覗き込む。
そこに映し出されていたのは…
(なになに…死後の世界について教えます…?嘘くさっ!)
…人は死後、新たな人生を歩み出します。
…そこでは、今生きている人間をファースト、死者をセカンドと呼び分けています。
(これって…)
…目に見えないだけで、セカンドはそこら中に存在しています。
…だから悲しまないで、あなたの愛する人は今もセカンドとなってあなたの傍に存在しているのです。
「そうなの?唯里…」
大粒の涙を流しながら、姉が小声で呟いた。
(姉ちゃん…)
俺自身、セカンドライフを送れていて、こうして家族にも一方的にではあるが会えているため実感が希薄だったが、やはり俺は死んでいて、遺された人達は深い悲しみを抱えていた。
(喧嘩ばっかしてたけど…やっぱ姉弟なんだな俺達…)
「唯里…そっちで楽しくやってる?お姉ちゃんね、失恋しちゃったよ…」
(俺も…失恋…かな?)
「浮気されてたの…と言うかあたしが浮気相手だったの…」
(あちゃぁ…)
「ただでさえ唯里が死んじゃって辛いのに…その上失恋って…不幸は重なるもんだね…」
(その不幸の一つである俺が言うのもなんだけど…元気出せよ…)
「セカンドか…お姉ちゃんも死んだらセカンドになれるのかな…」
(え?姉ちゃん?)
「死にたいなぁ…」
『は?ダメだって!』
「お母さん…悲しむよね…」
『うんうん!悲しむよ!』
(父さんもね!)
「でもね…辛いよ…」
『大丈夫だって!姉ちゃんならまたすぐ新しい彼氏できるって!』
姉が俺の机の引き出しを物色し始める。
『姉ちゃん?何してんの?エロ本なんて隠してないよ?』
姉は引き出しの中からカッターナイフを取り出した。
『おいおいおいおい!』
チキチキチキチキ…
カッターの刃を伸ばす。
『待て待て待て待てって!』
「お母さんごめんね…」
『ヤバいヤバいヤバいヤバい!!』
姉が手首に刃を当てる。
『やめろってこのバカ姉ぇぇぇぇぇっ!』
バシッ!
乾いた音を立てパソコンのディスプレイが割れる。
「ひゃぁ!」
『なんだ!?』
姉は驚き、カッターナイフを床に落とした。
「ゆい…り?唯里なの!?」
『お…俺?俺なの!?』
「そんなわけないよね…」
『んなわけねぇよな…』
「あ〜あ、死に損ねちゃったぁ…」
『あ〜あ…ディスプレイが…』
姉は深くため息をつき、部屋を出て行った。
俺は割れたディスプレイを眺めながら呆然としていた。
(偶然?にしちゃ出来すぎてないか?自然に割れるもんでもねぇしなぁ…)
答えの見つからぬまま、割れたディスプレイを見つめ続けた。