セカンド☆ライフ
翌日、俺は再び中央橋の田井中を訪ねた。

『ちっす田井中さん』

『よう』

『息子さんどうでした?』

『構わねぇとさ』

『おぉ、で?どうやって会えば?』

『この先のショッピングモールの裏手にうちの寺がある、行ってみな』

『わかった、あんがとね』

俺はオッサンに聞いた通り、まずはショッピングモールを目指した。

(おぉ、こうやってゆっくり見るとこの辺けっこう栄えてんなぁ)

程なく行くとショッピングモールが見えてきた。
平日の午前中だというのに賑やかだ。

ショッピングモールを抜けて裏手に回ると、それなりに立派な寺があった。

(ここだな)

「おう幽霊!」

(ん?あれはいつぞやのヤンキー霊能者)

「寺になんの用だ?成仏したくなったか?」

下品な笑い声が辺りに響く。

『いや、この寺の息子さんに会いに来ただけだよ』

「あぁ、パパが言ってたのはおめぇか」

『パパ!?』

「おう、俺は田井中 良法(タイナカ リョウホウ)、田井中家自慢の一人息子だ!」

『いや待て!息子は中学生って聞いたぞ!?』

「おう、中防だぜ?」

『いやいやいやいや…どう見たって俺より年上じゃないか…』

「大人っぽいとはよく言われるな」

自慢気に高笑いをしている。

(たぶん褒められてねぇぞそれ…)

「んで?俺になんの用だ幽霊」

『あ…あぁ…いや…やめとくわ』

「ああ!?」

(こんなヤンキー丸出しなヤツじゃうちの家族に警戒されるだけだ…)

「チッ…こちとら暇じゃねぇんだぞ?」

『あぁすまんすまん、なんか用事あったのか?』

「用事っつーか、ちょいと霊感詐欺やってるバチあたりをシメてやろうかとな」

『霊感詐欺?壺とか水晶とか?』

「悩み相談で小銭稼いでるらしくてな、うちの生徒も被害にあってんだ」

『へぇ、でもお前、そんなことしても警察沙汰にされて逆に捕まるぞ』

「あ?詐欺師ボコってなんで警察沙汰なんだよ?」

『お前馬鹿だろ』

「ああ!?喧嘩売ってんのか!?」

『売ってもいいけどセカンドの俺を殴れんの?』

「ふっふっふっ…」

『え?まさか殴れるの?』

「除霊する!」

『おぉ、その手があったか、意外と悪知恵は働くんだな』

「見直したか!」

『嫌味の通じないヤツだな』

「ん?どゆこと?」

『まぁ気にすんな、それより、俺もついてっていい?』

「詐欺師退治か?」

『そそ、個人的に興味あんだよね、お前一人で行かすのも危なっかしいし』

「かまわんぜ?俺の勇姿見せてやんよ」

(田井中さん…どこがあどけない中学生なんだ?)
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