セカンド☆ライフ
詐欺師と不良と忍者と告白
『で?その詐欺師がどこにいるかわかってんのか?』
「おう、堂々とネットに書いてあるからな」
『堂々と?それほんとに詐欺師?』
「当たり前だ!死んだら幽霊!常識だろ!?」
『いや常識ではないだろ…』
「寺の息子が言ってんだ!常識なんだよ!それをセカンドだかなんだと適度ぶっこきやがって…」
『は?それってお前…』
「な?腹立つだろ?そんなデタラメで金とってんだぜ?」
『いやお前…』
「死後の世界教えますとか偉そうにほざいてやがるみてぇだけどそれも今日までだ!」
『死後の世界教えます…って…もしかして…』
俄然興味が湧いてきた。
もしかすると姉やまっちゃんが見ていたサイトかも知れない。
良法は詐欺師だと言っているが、仮にあのサイトに書き込んでいた人間であれば、何らかの方法で俺達セカンドの存在を知り得ているのは確かだ。
そしてもう一つ気になることがある。
『なぁ良法、お前オヤジさんと話せるんだよな?』
「あ?それがどうした?」
『オヤジさんは自分のことをどう言ってるんだ?』
「自分のこと?さぁな、パパとは生きてる時と変わらん話しかしてねぇ」
『そうか…』
(自分が置かれてる状況ぐらい説明しとけよ…)
「着いたぞ!ここだ!」
『あれ?ここって…』
遺族会本部だった。
「突入するぞ!」
『あ、ちょっと…』
「ゴルァ!!」
良法は玄関のドアを蹴破りズカズカと中に入って行った。
『あ〜ぁ…』
「ゴルァ!出てこいや詐欺師野郎!!」
怒鳴り散らしながら奥の部屋へと向かっていく良法。
『良法君?奥はヤバいよ奥は…』
良法は聞く耳持たない。
奥の部屋の扉の前に立ち、いよいよ蹴破ろうかとした瞬間…
ドガッ!!
轟音と共に扉が吹き飛び、良法を廊下の壁に叩きつけた。
(佐和田さんかな?)
「ぐぐ…動けねぇ…」
良法は瓦礫の下敷きになり身動きがとれないようだ。
『生きてるみたいだな良法』
「てめぇ…助けろ…」
『助けようにも俺にはどうすることも…』
!?
部屋の中からとてつもなくどす黒く、圧力すら感じるほどに強い殺気を纏った靄が吹き出してきた。
『人様のアジトで騒いでるのはどこの馬鹿でしょう』
黒い靄を従えて部屋から出できたのは梅澤さんだった。
梅澤さんは俺に気づくと、氷のような冷たい目で俺を睨みつけた。
『貴方の差し金ですか?水辺様…』
(怖い…)
『あ…いえ…違います…』
『ではどうしてここに?』
『いや!えっと!その…ね?』
『言いたいことがあるなら手早く簡潔にはっきりとどうぞ』
『俺は止めたんですよ!?止めたけどその馬鹿がですね!!』
『お知り合いなのですね?』
『いや!知り合いってほどの仲でもないです!』
『では今から拙者がこの馬鹿を殺しても構わんでござるな?ニンニン』
『こ…ころ!?いや!えっと!…ニンニン!?』
(ヤバい…良法が殺される…)
『脅しはそれくらいでいいでしょ?梅澤さん』
中から佐和田が出てきた。
『佐和田さん!!』
『よう水辺…』
次の瞬間、黒い影が目の前を横切ったかと思うと、視界から佐和田が消えた。
『え?』
『何があろうと部屋から出すなとの環様よりのご命令です』
佐和田は部屋の中へ戻され、靄に包まれ椅子に拘束されている。
良法は壁と扉に文字通り板挟みにされ虫の息だ。
(何この人…)
『静まれ花子!』
『御意』
いつの間にか俺の背後に環がいた。
そして…環の背後に詩乃がいた…
(しの…ちゃん?)
『まったく、何を騒いでおるか愚か者』
『申し訳御座いません環様』
さっきまで廊下中に渦巻いていた梅澤のノイズは跡形もなく消えていた。
『おや?この小童は確か田井中の小倅』
環は良法を知っているようだ。
良法はすでに意識がない。
『ゆいり…くん…』
『しのちゃん…』
『詩乃!小僧!お主らは出て行け』
『え?』
『出て行け、と言うておる、二人で、な』
『はい!お世話になりました環さん!』
『うむ、うまくやれよ?詩乃』
『はい!行こうゆいりくん』
『え?…あ…うん…』
事態は飲み込めなかったが、言われるがまま詩乃と本部を出た。
成り行きで出たものの、詩乃に声をかけることもできず、気まずい沈黙が流れた。
『よし!』
詩乃が急に口を開いた。
『ゆいりくん!』
『な…何?』
力強い詩乃の声に気圧されてしまった。
『ごめんなさい!』
深々と頭を下げる詩乃。
『え…あ…うん…』
『私ね…ずっとゆいりくんのこと好きだったのね』
『うん…』
『それは今も変わりません!今もゆいりくんが好きです!』
『う…うん…』
『許してほしいとは言わないし、許されることじゃないってわかってる、でも好きだって気持ちは伝えときたくて…』
『俺は…』
『…はい』
『俺さ、実は…死んだことはそれほどショックしゃないみたい…』
『え?』
『なんて言うかさ、よくよく考えたら、俺って死んでからのほうが人生充実してんだよね…』
『充実?』
『そそ、なんの取り柄もなかった平凡な俺がさ、死んでから急に波瀾万丈じゃん?』
『…うん』
『タレントとか、ノイズとか、800歳の幼女とかさ…あと…』
『あと?』
『すっげぇ可愛い彼女…とかさ…』
詩乃は俯いてしまった。
『楽しいよ、うん、楽しい!第二の人生、しのちゃんとの人生、楽しい!』
『ゆいりくん…』
『しのちゃん…いや、詩乃』
『は…はい!?』
『仲直り…したい』
『わ…わわわ私も!!』
『んじゃ仲直りね』
『う…うううん!』
『詩乃、俺のことも呼び捨てでいいよ』
『ゆいり…くん』
『くん、はいらない!』
『う〜…むりぃ…』
『まぁそのうちでいいか、時間はいっぱいあるんだし』
『…うん』
「おう、堂々とネットに書いてあるからな」
『堂々と?それほんとに詐欺師?』
「当たり前だ!死んだら幽霊!常識だろ!?」
『いや常識ではないだろ…』
「寺の息子が言ってんだ!常識なんだよ!それをセカンドだかなんだと適度ぶっこきやがって…」
『は?それってお前…』
「な?腹立つだろ?そんなデタラメで金とってんだぜ?」
『いやお前…』
「死後の世界教えますとか偉そうにほざいてやがるみてぇだけどそれも今日までだ!」
『死後の世界教えます…って…もしかして…』
俄然興味が湧いてきた。
もしかすると姉やまっちゃんが見ていたサイトかも知れない。
良法は詐欺師だと言っているが、仮にあのサイトに書き込んでいた人間であれば、何らかの方法で俺達セカンドの存在を知り得ているのは確かだ。
そしてもう一つ気になることがある。
『なぁ良法、お前オヤジさんと話せるんだよな?』
「あ?それがどうした?」
『オヤジさんは自分のことをどう言ってるんだ?』
「自分のこと?さぁな、パパとは生きてる時と変わらん話しかしてねぇ」
『そうか…』
(自分が置かれてる状況ぐらい説明しとけよ…)
「着いたぞ!ここだ!」
『あれ?ここって…』
遺族会本部だった。
「突入するぞ!」
『あ、ちょっと…』
「ゴルァ!!」
良法は玄関のドアを蹴破りズカズカと中に入って行った。
『あ〜ぁ…』
「ゴルァ!出てこいや詐欺師野郎!!」
怒鳴り散らしながら奥の部屋へと向かっていく良法。
『良法君?奥はヤバいよ奥は…』
良法は聞く耳持たない。
奥の部屋の扉の前に立ち、いよいよ蹴破ろうかとした瞬間…
ドガッ!!
轟音と共に扉が吹き飛び、良法を廊下の壁に叩きつけた。
(佐和田さんかな?)
「ぐぐ…動けねぇ…」
良法は瓦礫の下敷きになり身動きがとれないようだ。
『生きてるみたいだな良法』
「てめぇ…助けろ…」
『助けようにも俺にはどうすることも…』
!?
部屋の中からとてつもなくどす黒く、圧力すら感じるほどに強い殺気を纏った靄が吹き出してきた。
『人様のアジトで騒いでるのはどこの馬鹿でしょう』
黒い靄を従えて部屋から出できたのは梅澤さんだった。
梅澤さんは俺に気づくと、氷のような冷たい目で俺を睨みつけた。
『貴方の差し金ですか?水辺様…』
(怖い…)
『あ…いえ…違います…』
『ではどうしてここに?』
『いや!えっと!その…ね?』
『言いたいことがあるなら手早く簡潔にはっきりとどうぞ』
『俺は止めたんですよ!?止めたけどその馬鹿がですね!!』
『お知り合いなのですね?』
『いや!知り合いってほどの仲でもないです!』
『では今から拙者がこの馬鹿を殺しても構わんでござるな?ニンニン』
『こ…ころ!?いや!えっと!…ニンニン!?』
(ヤバい…良法が殺される…)
『脅しはそれくらいでいいでしょ?梅澤さん』
中から佐和田が出てきた。
『佐和田さん!!』
『よう水辺…』
次の瞬間、黒い影が目の前を横切ったかと思うと、視界から佐和田が消えた。
『え?』
『何があろうと部屋から出すなとの環様よりのご命令です』
佐和田は部屋の中へ戻され、靄に包まれ椅子に拘束されている。
良法は壁と扉に文字通り板挟みにされ虫の息だ。
(何この人…)
『静まれ花子!』
『御意』
いつの間にか俺の背後に環がいた。
そして…環の背後に詩乃がいた…
(しの…ちゃん?)
『まったく、何を騒いでおるか愚か者』
『申し訳御座いません環様』
さっきまで廊下中に渦巻いていた梅澤のノイズは跡形もなく消えていた。
『おや?この小童は確か田井中の小倅』
環は良法を知っているようだ。
良法はすでに意識がない。
『ゆいり…くん…』
『しのちゃん…』
『詩乃!小僧!お主らは出て行け』
『え?』
『出て行け、と言うておる、二人で、な』
『はい!お世話になりました環さん!』
『うむ、うまくやれよ?詩乃』
『はい!行こうゆいりくん』
『え?…あ…うん…』
事態は飲み込めなかったが、言われるがまま詩乃と本部を出た。
成り行きで出たものの、詩乃に声をかけることもできず、気まずい沈黙が流れた。
『よし!』
詩乃が急に口を開いた。
『ゆいりくん!』
『な…何?』
力強い詩乃の声に気圧されてしまった。
『ごめんなさい!』
深々と頭を下げる詩乃。
『え…あ…うん…』
『私ね…ずっとゆいりくんのこと好きだったのね』
『うん…』
『それは今も変わりません!今もゆいりくんが好きです!』
『う…うん…』
『許してほしいとは言わないし、許されることじゃないってわかってる、でも好きだって気持ちは伝えときたくて…』
『俺は…』
『…はい』
『俺さ、実は…死んだことはそれほどショックしゃないみたい…』
『え?』
『なんて言うかさ、よくよく考えたら、俺って死んでからのほうが人生充実してんだよね…』
『充実?』
『そそ、なんの取り柄もなかった平凡な俺がさ、死んでから急に波瀾万丈じゃん?』
『…うん』
『タレントとか、ノイズとか、800歳の幼女とかさ…あと…』
『あと?』
『すっげぇ可愛い彼女…とかさ…』
詩乃は俯いてしまった。
『楽しいよ、うん、楽しい!第二の人生、しのちゃんとの人生、楽しい!』
『ゆいりくん…』
『しのちゃん…いや、詩乃』
『は…はい!?』
『仲直り…したい』
『わ…わわわ私も!!』
『んじゃ仲直りね』
『う…うううん!』
『詩乃、俺のことも呼び捨てでいいよ』
『ゆいり…くん』
『くん、はいらない!』
『う〜…むりぃ…』
『まぁそのうちでいいか、時間はいっぱいあるんだし』
『…うん』