バレンタイン戦線異常アリ
1.ステップアップ、したいんだ。
高校生活の楽しみの一つはお弁当。
そこに、デザートなんかがついた日には至福の喜びだ。
昼休みはまだ二十分残ってる。
余裕余裕、と鼻歌を歌いながら私は机に隠しておいたヨーグルトを取り出した。
「じゃじゃーん!」
「あー、いいな、和歌(わか)。いつの間に買ったの?」
机の向こう側で甘えるような声をだすのは親友の春香(はるか)。
「四時間目前にトイレに行った時だよん。春香の分も買ってきてあるよ。この間、おごってくれたからお礼」
「うわー、ありがと!」
購買のヨーグルトは人気商品だ。昼休みに買いに行ったのでは売りきれてしまう。
二層仕立てで、ソースはストロベリー、ブルーベリー、キウイの三種類。
その中でも一番人気なのが、ここに二つあるブルーベリー味。
底にソースが入っていて、振って混ぜてから食べるのでもいいし、そのまま最後の方に濃厚なソースを絡めて食べるのもいい。
ちなみに私は後者の方が好みだ。最後の濃厚さが堪らない。
「はい、春香」
「ありがとう。和歌」
一つを春香に手渡し、まずはお弁当箱を片付けてからヨーグルトの蓋を開ける。
その白いお姿にきゅーんとなる。
一口すくって口に入れた時、隣の席から声がした。
「うまそう。俺にも一口」
隣の席に座っているのは、茶髪の前髪をうるさそうに脇に流している佐々木洋介(ささき ようすけ)だ。
しかし、今の声は彼のものではない。
彼の前の席から椅子を拝借し、一緒にお弁当を食べていた井波克司(いなみ かつし)のものだ。
そこに、デザートなんかがついた日には至福の喜びだ。
昼休みはまだ二十分残ってる。
余裕余裕、と鼻歌を歌いながら私は机に隠しておいたヨーグルトを取り出した。
「じゃじゃーん!」
「あー、いいな、和歌(わか)。いつの間に買ったの?」
机の向こう側で甘えるような声をだすのは親友の春香(はるか)。
「四時間目前にトイレに行った時だよん。春香の分も買ってきてあるよ。この間、おごってくれたからお礼」
「うわー、ありがと!」
購買のヨーグルトは人気商品だ。昼休みに買いに行ったのでは売りきれてしまう。
二層仕立てで、ソースはストロベリー、ブルーベリー、キウイの三種類。
その中でも一番人気なのが、ここに二つあるブルーベリー味。
底にソースが入っていて、振って混ぜてから食べるのでもいいし、そのまま最後の方に濃厚なソースを絡めて食べるのもいい。
ちなみに私は後者の方が好みだ。最後の濃厚さが堪らない。
「はい、春香」
「ありがとう。和歌」
一つを春香に手渡し、まずはお弁当箱を片付けてからヨーグルトの蓋を開ける。
その白いお姿にきゅーんとなる。
一口すくって口に入れた時、隣の席から声がした。
「うまそう。俺にも一口」
隣の席に座っているのは、茶髪の前髪をうるさそうに脇に流している佐々木洋介(ささき ようすけ)だ。
しかし、今の声は彼のものではない。
彼の前の席から椅子を拝借し、一緒にお弁当を食べていた井波克司(いなみ かつし)のものだ。
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