バレンタイン戦線異常アリ
「ところで。春香、今日の帰り、買い物付き合ってよ」
「うん、いいよ。どこに行くの?」
「うん。ちょっと……」
ごにょごにょ……と尻すぼみになると、小首をかしげて「どこでもいいよ。付き合う」と笑ってくれる。
ごめんね。後でちゃんと説明するから。
今は隣にいる二人に聞かれたら困るんだ。
ちらりと横目で克司をみると、残りのお弁当をがつがつと食べている。
克司は食べるのが好きだ。
確か三時間目の休み時間に菓子パンも食べていた。
無心に食べる姿もまたいいんだよなぁ。
なんていうの、母性本能くすぐられちゃうってやつ?
冷え性のせいで冷え切っている手で頬を触る。
克氏にばれないように、頬の熱を冷ましたかった。
……ステップアップ、したいんだ。
今年こそ告白する。
今年のバレンタインこそ。
友達でも良かった。
でも特別になれたらもっといい。
だから今年こそ勇気を出そうと思うのだ。