バレンタイン戦線異常アリ
「うん。ありがと。じゃあ、レジに行ってくる」
そう言って私はレジへと向かった。だけど、レジは行列になっていて、順番はまだまだ先だ。
退屈しのぎにきょろきょろあたりを見回すと、春香がきれいにラッピングされてるチョコレートを眺めていた。
春香って、そういえば好きな人いないのかな。
あんなにカワイイのに、一人だよねぇ。
まあでも、男の子と話すの自体があんまり得意でもなさそうだもんなぁ。
やがて、何も持たずに私の方へやってくる春香に聞いてみる。
「春香は買わないの?」
「あたしはいいの」
でも、なんだか真剣にチョコを見てたような気がするんだけど。
「春香って好きな人いないの?」
「……いるよ。でも片想いなんだ。絶対にうまくいかないって分かってるからいいの」
「私だって片想いだよ」
春香は、小顔の丸顔で背も小さくてとてもかわいい。
性格だって優しくていい子だよ。
私の自慢の親友。
私が男で春香に告白されたら、その気が無くたってクラッと来ちゃうような気がするのに。
絶対にうまくいかない相手って一体誰なんだろう。
「応援するから教えてよ」
「……ダメ。恥ずかしいから」
春香にしては凄く頑なだなぁ。
私にも教えられないような人って誰だろう。