バレンタイン戦線異常アリ

 放課後、ラッキーな事に、私と克司は同じ教室の掃除班だ。

教室内のゴミは一階のゴミ捨て場まで持って行くことになっている。
昔は焼却炉で焼いていたそうだけど、今は一杯になったら用務員さんが捨てに行っているらしい。

なんとなく押し付けられたゴミ箱を運んでいると、後ろから克司の声が追ってくる。


「おい、和歌」

「え? 克司?」

「貸せよ。持ってやる」


掃除なんて男子はいつも適当なのに。

どうした風の吹き回し? 
わざわざ追いかけてきてしかもゴミ箱持ってくれるとか。

こ、これはあれですか。
恋愛フラグが立っちゃってるってやつですか。


「あ、ありがとうね」


精一杯、可愛く見えそうな笑顔で対応。
克司は頬をかくと照れたようにそっぽを向いた。


「あ、あのさ」

「う、うん」


なに? なんなの?

気まずそうに何度も口ごもる克司。
私の心臓はもうバックンバックン飛び出しそう。


もしかしてマジで?

本気で、私の事好きだったりする?

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