どれだけ苦しくても…


その約束を交わした後から一緒に帰ろうと誘ってくれたり、よく仕事中でも話をするようになった。


小川さんの方からちょっかいをちょくちょくかけてくるようにもなり、周りの職員からしたら「仲がいいね、でも仕事はしっかりね」という人もいれば「付きあっとるん?」って勘違いする人もいた。


私は嫌いなくせに、好きじゃないくせにと思いながらも小川さんがしてくる行為は嫌ではなかった。


このころの自分は何がしたいんだろうと思った。
自分がして、思っていることはあきらかに矛盾していることはわかっていたけど、嬉しいといか楽しいと思うこの気持ちは間違いではないと思った。


今は楽しんで仕事とかできたらいいなと思っていたから、深くは考えていなかったのかもしれない。



私が働いているデイサービスは基本日曜がお休みだ。あとはどこかで一回休みがある。


その日曜日に職場の先輩たちがお出かけに誘ってくれた。この日は小川さんはこなかった。
先輩たちが家まで迎えに来てくれ、それから出発し、目的地まで向かう。


先輩の姪も来ていて、車の中でお話したり遊んだりしていた時、LINMが一通きた。

見ると知らない人からだった。


“森ちゃん、アトムこんかった…”と。


誰だろうと思いながら“アトム”という言葉を思い出した。もしかして小川さんかな…?


そう思って

「あのーこれって小川さんですか?」

「そうよ、どうした?」

「いえ、この人だけだれかわからなかったので」


むやみにLINMがきたと言ったらからかわれたり勘違いされた面倒だと思い聞くだけ聞いた。


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