どれだけ苦しくても…
何やこの男。
挨拶に行った時、ある男性と目があった。顔はかっこいい。けど、なんか嫌いな奴。好きなタイプではなかった。
雰囲気からして苦手なタイプだし、好きにはなれないだろうとハッキリとわかった。
私がこんなことをはっきり思う人は初めてだ。
「どうした?颯希」
「ん?あぁ…今ねデイである男の人と目があったんやけど、顔はかっこいいんやけどなんか嫌いなタイプやったんよね。あの人とと仕事一緒にせんにゃいけんとか少し嫌よね」
「しょうがないよ。けどそんなこと言っていずれは好きになったりして」
まさか…そんなことない。嫌いな人をどうやって好きになるのさ。恋愛もののマンガじゃあるまいし。
そんな展開があったらびっくりする。そりゃね、入社式前までは少しは期待してたけど。
「それはないやろ。嫌いな人を好きになるはずがない」
「わからんよ~」
「そんなことよりつるちゃんの方はどうなん?」
「あれは諦めたからいい」
そう言ってつるちゃんは下を向いて悲しそうな顔をした。あまり深く聞かない方がいいのかもしれない。あまり聞くともっと悲しい顔をさせてしまう。そんなの嫌だから。
「それにしても部署離れたね」
「ん…でも建物は同じやし、シフトによっては会えるやんね」
「なら大丈夫」
そして二人で帰った。無事、入社式は終わることができた。