どれだけ苦しくても…


「めっちゃ好きよ!小さいころに犬の本見よってさ、その中の犬全部覚えとったぐらいよ?」

そう言ってニカッと笑った。

「うち、犬いるんです。良かったら見に来ませんか?」

何でこんな誘いをしているんだ私は…。けど、もっと話してみたい。そう思った自分がいることは確かだ。


「え、お前ん家犬おるん?まじ?行く!」


そう言われ、その日は定時に仕事を終え、一緒に帰った。
言えに帰り、犬に会わせると…


「散歩とか行っていい?」

そんなことを言われ、嫌だったら断るのに私はもう少し一緒に居たいと思った。


「いいですよ、いきましょうか」


心の中で私はガッツポーズ。つい前までは嫌い、苦手、無理なんて言っていて避けていたこの人を、今はまだ一緒にいたいと思った。
好きではない。私はまだ今の彼氏が好きだと心には言い聞かせて…。


それから犬の散歩をしながら楽しいひと時を過ごした。
公園に行き、少し話した。

その時

「森ちゃんさ、映画とか好き?」

え…?

「まぁ好きですよ。今、クレヨンしんちゃんが見たいんですよね」

「俺も。けどスパイダーマンも見たい」

「わかります」

そういう話になり、次の休みがかぶるため、映画に行くこととなった。

近くのコンビニまで小川さんを送り、帰ろうとしたとき。


「森ちゃん。ホントに行ってくれる?」


そう聞かれた。なんでそんなことを聞いたのかはわからなかった。

「もちろんですよ、楽しみにしてます」


そう言ってまたさよならをした。
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