想いの果てに、

「棗?棗ー!」

「……りょ、う……」

「ん?涼?ふふ、棗もダーリンが恋しいのねぇ」






違うよ、桜、違う、の……

私は再びブンブン頭を振って、顔を上げた。






落ち着け、私。

別の方向に捕らえてみよう。

…私は偶然にも、心の底から憎んでいる涼の彼女を見つけた。

その子は、私が信頼していた唯一の友人の1人だった。

要に私は裏切られたのだ。親友に。杏奈に。

そう、裏切られたのならその分仕返しをすればいい。

涼の彼女になったという…裏切りの仕返しを……

私が仕返しをした所で、誰が私を咎める?

きっと誰も咎めやしない。誰しも私の事を責められない。

誰かが私の立場だったら、きっとその誰かも私と同じ行動を取る。

それは確信を持って言える。

だって私がこんな気持ちなんだから。
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