想いの果てに、
「な、何言って……」
「杏奈、アンタだよね?涼の言ってたすっげー可愛い彼女って。」
「ち、違うよ!」
「じゃぁ何で左手隠したの…?何で涼と同じ指輪はめてんの…?」
「こ、これはたまたま……!」
「たまたま涼と同じ指輪?杏奈って涼が大事にしまっていた指輪、見た事あった?」
「あ、う、うん……実は…あの、こないだ、偶然会って、それで…」
「私でも見た事ないものを、何で杏奈が見たのかなぁ?」
「っ……棗っ…」
「……私を、騙してたんだね」
「そ、そういうつもりじゃ…!!」
「サッカー部の先輩が好きって言ってたじゃない?それも嘘?だよね?」
「~~っ!」
目尻に溜まった涙が溢れそうになった。
否、もう溢れて零れかけている。
それは杏奈も同じだ。
何で杏奈が泣きそうな顔してるのかな?裏切ったくせに…ね。
私は鞄に入れていた小さなナイフを差し出す。
それを杏奈に向けた。