想いの果てに、
「……このこと、涼に話す…?」
「は、話さないっ……」
「……そうよねー。杏奈は私を裏切ったんだもの。これ以上裏切るような事しないよね」
「………う、うんっ……」
泣きじゃくる杏奈の前髪を引っ張って自分の方を向かせた。
杏奈は泣きながら必死に頷いている。
そっと校庭を見ると、ちょうどサッカー部が終わった頃だった。
私はポケットからハンカチを取り出す。
「はい、涙拭いて。いつものように笑って?」
「……棗……」
杏奈が安堵の表情を見せる。
安心した?私が怒ってないと思ってる?
私は神様でなければ仏様でもない。
「勘違いしないで。そんな顔で行かれると、涼にバレるでしょ」
私はハンカチを杏奈に突きつけて、教室から追い出した。