想いの果てに、
「おはようさん、変わりなさそうやんね」
「何がです?」
「こっちの話」
多分、涼のことだろう。
涼に彼女が出来たってことくらい、サッカー部には広まっているはずだ。
私は出来るだけ何も知らないフリをした。
隼人先輩にバレるのは、時間の問題だろうけど。
「変な先輩」
「そう言わんでや。あ、辞書持っとる?」
「辞書ですか?」
「うん、朝っぱらから英語なんやけど、忘れてしもてん」
「私、電子辞書じゃないですよ?」
「かまんよ」
私は教室に入って、自分の席に近づく。
いつものように桜と杏奈は2人で前後に座ってる。