想いの果てに、
放課後になって、昨日と同じように教室は私と杏奈で2人きり。
桜は居残りが嫌いで、前までは「桜も残ればいいのにね~」とか2人で語り合ったものだが
今ではそんな温和な会話もない。
温和な会話どころか、もう友情も日常生活も破滅的だ。
私は窓の淵に座って、サッカー部を眺めてる。
落ちそうで落ちない場所。
落ちなければそれでいい。痛くないから。
落ちたら落ちたでいい。何だか、生きる気力がない感じだ。
結局、今日中に隼人先輩は辞書を返してくれなかったな…
そんな事を思いながら、私は今日もきっと杏奈に酷いことをするのだ。
「ねぇ、杏奈」
「な、何…?」
「指輪、外してくれないの?」
「こ、これは、ずっと付けてようって約束したから…」
「ふーん……涼と約束したんだ?」
「う、うん…」
「じゃぁ、その約束破ってよ」
「え…?」
「私との約束破ったみたいにさ、破っちゃってくんない?」
「そんなの、無理だよ…!」
やっぱり簡単にはいかないか、とか思いながらも私は杏奈にそっと近づく。
左手に手を伸ばし、指輪を抜き取ろうとした。