想いの果てに、
「棗?やっぱりお前……」
「帰ります」
「ちょい待ちや。お前、もしかして知っ…」
「私は何も知りません」
隼人先輩の言葉を遮って、私は鞄を持った。
「そんなワケないやろ」
先輩の言葉をきっかけに、私は真っ直ぐ先輩に向き直る。
「本当の本当に…何も知らないんです」
いえ…知らなかったんです。
呆然と私を見る隼人先輩。
そんな先輩に私は背を向けて教室を出た。
杏奈と涼が通った道のりを、今は私が歩いている。
そう、私は涼が好きなだけ
涼を取り戻すためなら……
何だって、していいよね……?
隼人先輩だって、それはおかしいことじゃないって言った。
嫉妬するのが当たり前だって言ってた。
だから、だから…私のしていること、抱いている感情はおかしいものじゃない。