想いの果てに、
幸せな予感が、一瞬にして嫌な予感に変わった。






聞かない方がいいって、私の本能は騒ぎ続ける。






でも、その場から逃げることも出来ず、






私はお姉ちゃんの話に耳を傾けたままになっていた。






「じゃぁ、涼の彼女は棗ちゃんじゃないのかー…」






指環の事知らないみたいだし、そんなわけなかったかな…と呟いたお姉ちゃんの声は私には届かない。

「実はこの指環はね…」

お姉ちゃんの話を聞くからに、涼に恋人が出来た時のために指輪を二つ渡しておいたんだって。

「本当に大事な人にあげるのよ」って……。






じゃあ…今、涼とお揃いの指輪をはめてる子が何処かに居るってこと…?

私がはめるはずだった指輪……






「じゃぁ、棗ちゃん、涼起こしといてね」

お姉ちゃんは、それだけ言って、部屋から出て行った。
< 5 / 59 >

この作品をシェア

pagetop