想いの果てに、
昨日の夜にズタズタにしておいた辞書を鞄の中に入れた。
私の足取りは重い。
決意を固めたところで、私の気持ちは落ち着かなかった。
やっぱり私のしていることは正しいとは言えない。
だから……かな?
でも正しいことをしてないのは杏奈も隼人先輩も一緒だよ。
だから……私がやろうとしていることは、悪いことじゃないよね?
2人の元々の悪事を、私が晴らすんだから。
ピンポーン。
「ほーい」
「涼!来たよ~!」
「お、棗~!いらっしゃい」
玄関をドアを開けて迎えてくれたのは、涼。
私はいつもの笑顔で涼の家に上がって2階の涼の部屋に行った。
涼はいつものように飲み物を持ってきてくれる。
それまで私は涼の部屋のマンガを読んでいる。
「ほい!いつものな!」
「ありがと~」
笑顔でお礼を言うと、涼もニっと笑った。
もし、私が杏奈だったら、
些細な、あんな表情の変化でも、
涼は赤くなって、
照れてくれてたのかな…?