想いの果てに、
「…杏奈ね、隼人先輩と付き合ってるんだって」
「…な、んだって……?」
「だから、私が先輩に辞書を貸したことが許せなかったみたい…」
「それだけで…こんな事すんのか…?」
「……涼。女って…物凄い陰険なんだよ。私も女だけど…」
それだけで大抵の男は納得する。
本当、女って陰険だよ?私自身、自分の陰険さに怖気が走るくらいに。
「……杏奈……が、マジで…?」
私は小さく頷いた。
「杏奈、怖かった…。ナイフ持って、自分の首切って、
こうなりたくなかったら隼人先輩に近付かないでくれる?って……」
あーもう…。本当に自分の頭のキレの良さに反吐が出る。
普段はバカなくせに、こういう時だけ分かっちゃうんだよね。
本当、私は人間として終わってるよ。
こんな非道なこと、人間としてしちゃいけないんだって…
心の何かがさっきから叫んでいるのに…
さっきから私はそれを無視してる…。