想いの果てに、
私は無意識に両手で拳を作り、わなわなと震わせていた。

怒り狂うと我慢が出来ない、私は汚い人間だ。

人間なら、理性で何とか我慢するものを…

こんな動作、涼の前で見られちゃいけないのに…

私はハッとして手を押さえ、苦笑しながら涼を見た。











「涼、ごめんね?ちょっと今日は気分悪いから帰るね?」

「…?おう……お大事にな…?大丈夫か?」

「う、うん…」

「よく見たらお前、顔色悪いよ。送ってこうか?」

「ううん、大丈夫」











大丈夫なわけがない。

この精神的な錯乱を、どう対処しろというのか。

そんな状態でも、私は必死で心の中で涼に謝っていた。
















ごめん、涼。






ごめん、ごめん、ごめん……。






私、涼の幸せを素直に祝福出来そうにないよ…。
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