やっぱり君が可愛すぎて
「……君に好き言うてええのも、君が好き言うてええのも、ボクだけやのに」
ぼそ、と頭の上で呟かれた彼の言葉に、胸の奥がぎゅ、と締め付けられる。
本当は嬉しくて嬉しくて仕方ないのに、素直じゃないわたしは可愛い反応ひとつ返せなくて。
「わたしもだよ」って耳元で囁いて、そのまま彼の薄くて形の良い唇にキスのひとつでもできたら、彼は喜んでくれるのだろうか。
でも、できない。
恥ずかしさもあるけど、もうひとつ理由がある。
多分、もうひとつの理由の方が大きい。
「なぁなぁ、今日も泊まっていき?君のママさんにはボクが連絡しといてあげるさかい」
「でも、明日学校だし……」
「一応学校の用意はしてきはったんやろ?」
「……うん」
「ならええやん。朝は学校まで車で送ってったげるし……」
「だから、なァ?もう一晩一緒におって?」 柔らかい声でねだられて、透き通るように白い
手にふわり、頭を撫でられれば、わたしが絶対頷くことを、この男は知っている。
「ほんならボク、先お風呂入ってくるわ。……あ、一緒入る?」
「入らない」
「なんや、いけずやなァ……」
「今さら何を恥ずかしがってはるんやろか。……ベッドの上でならもう何べんも見てんのに」 くつくつ笑いながら、ゆったりとソファーから立ち上がった彼に、頭上でとんでもないことを囁かれて、顔が一瞬で燃え上がったかのように熱くなる。
「ばっ、ばかっ!いいから早くお風呂いきなよ!」
「はいはい、おーこわ」
顔がお風呂に行ったことを確認してから、大きく息を吐き出して、ソファーにぱたんと倒れ込んだ。