やっぱり君が可愛すぎて
ぞく、と脊髄を突き刺すような悪寒。
わたしは彼のこの笑顔が、昔から苦手で、そしていまだに馴れない。
全部を見透かされているような目に見つめられれば、頭の中が真っ白になって、何も考えられなくなる。
わたしの心を縫い止めるように、じっと見つめてくる目が怖い。怖い。
「な、に」
「今日の君、なんやおかしない」
「別に……普通」
「普通?どこが」
今まで膝枕をして優しく頭を撫でてくれていた人とは思えないほどの荒々しさで、彼はわたしをソファーに沈めて覆い被さった。
「今日やけに反抗的やん。なァ?」
「っ……」
ゆるりと笑顔に歪めた彼の顔。しかし目は笑っていない。
「どないした、って訊いてるんやけど」
耐えきれなくなって、思わず身体を捩ったら、それが裏目に出てしまった。
「ああ、君、今ボクから逃げようとした?」
「こらアカンな」 彼は軽々とわたしの身体を持ち上げると、そのままソファーから立ち上がり寝室へ向かった。