ハニー*トラブル~君の彼氏はつらいよ~


うわー、もう、どうしよう!


どうにかしてまかないと、このままじゃ、学校まで全力疾走じゃん

俺、そんなに体力ないから無理ですわ!


ちらっと後ろを見れば、やっぱり鬼のような形相で俺を追いかけてくる親衛隊二人。



でも、結構距離ができてるな……


俺、実は運動神経いいのかな!?


おー、やべー、嬉しい!

……じゃなくて、これだけ離れているなら、どこかに隠れることができる……はず。

うん、あくまでも、“はず”なだけだぞ


走るスピードをさらにあげて、角を曲がって、商店街の路地裏に入る。


「あいつどこ行った!?」


バタバタとした足音がすぐ近くで止まる。


うわぁー、どうか見つかりませんように!



できるだけ小さく見せようと鞄を抱き締めたその場にしゃがみこんで身を縮める。


「おい、向こうじゃねぇか?」


その声と共に二つの足音は徐々に遠ざかって、聞こえなくなる。


恐る恐る表に出ると、そこに学生の姿はひとつもない。



ほっと安堵の息をついて、近くのバス停のベンチに座った。


つ、疲れた……!

昨日から走りっぱなしだぜ、俺。


俺が家出たの7時半だったんですけど……。

もう9時過ぎてるし!


俺、約2時間、ほぼ走りっぱなしだぜ。かなりの距離走ったよな、これは。



すげくね?

俺、マラソン選手になれそうなんだけど。目指そっかな


そんな冗談は置いといて、走り続けていたせいか、喉が張り付いてしまいそうなほど渇いてる。



財布のなかを覗いたあと、しかたなく、近くの自販機で一番安い飲み物を買って喉を潤す。


「あー、生き返る」


思わず飛び出た言葉は正直な感想。


これほどこんな安い飲み物をうまいと思ったことはない。


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