ハニー*トラブル~君の彼氏はつらいよ~
数分後、到着したバスに乗り込んで一番奥の席に座る。
15分間、流れていく景色を眺めたら、高校のすぐそばにあるバス停で降りて辺りを見渡す。
よし!誰もいないな!
足早に教室へ直行すると、ちょうど授業が終わったところだった
チャイムが鳴り響き、数学教師の西田が教室から出てきた。
一時間目数学だったのか。
後でノート見せてもらおうと肩を落とす俺に、教科書攻撃が繰り出される。
いてっ。
「遅い登校だな、松本。理由を聞いてやろうじゃねぇか」
「はい、マラソンしてました!」
「……バカ言ってないで昼休みきちんと指導室来いよー」
俺のいたって真面目な返答は適当に流される。
本当のことなのに……
教室に入ると、クラスメートの好奇の視線と、ちらほらと見当たる城ヶ崎さんの親衛隊の嫉妬の視線
……忘れてた。俺のクラスにも親衛隊いるんだった!!
全校生徒の半分以上の男子が城ヶ崎さんの虜だってことをすっかり忘れていた!
昨日まで一緒に話していたやつらも俺を恨めしそうに睨み付けてる。
「お、朝陽ー! おっはよー」
ビクビクしながら自分の席にたどり着くと、ひとつ後ろの席に座る俺の親友、島崎啓太が話しかけてきてくれた
「おはよ……」
「あり? 元気なくね? あれか、城ヶ崎美咲親衛隊に追いかけ回されてるからか?」
「知ってるなら聞くなよ」
げんなりして答えると、ギャハハと品のない笑い声を響かせて、俺の背中を強く叩いた。
いってぇ!! 加減しろよ、この野郎!!