ハニー*トラブル~君の彼氏はつらいよ~
「朝からすげー噂だったぞ。今年イチの騒ぎだったな」
「そんなにか」
「そんなに、だろ。にしても、お前バッカだなぁ、なんであんな高嶺の花と付き合ったんだよ」
啓太は城ヶ崎美咲親衛隊じゃないうえに、愛する人がいるせいか、俺に普通に接してくれる。
めっちゃ嬉しいよ、俺。
もう泣きそうなくらい嬉しい。
愛する人って言っても、片想いだけどな、こいつ。
しかも中学生だぞ。こいつロリコンだぞ。
「あのな、お前だったら城ヶ崎さんに告白されて断れるか? 無理だろ。」
「うん、無理だわ。可愛いしな、城ヶ崎さん」
「そうだろ、無理だろ」
「うん……えっ、つーか、告白されたの?」
よっぽど俺の言うことが信じられないのか、半笑い。しかもバカにしたような。
だから、懇切丁寧に昨日のことを隅々まで説明してやると、姉ちゃんみたいに「朝陽が人助けぇ? ありえなくねそれ」とか言いやがった
本当に失礼だけど、うん、まぁやっぱりそれくらいありえないことなんだよな、ヘタレの俺が人助けなんて。
話を終えた俺は次の授業の準備をして、机にうなだれる。
こうすることで親衛隊と目を合わせないようにもしてるんだ。俺すげーだろ
「朝陽……」
「んー?」
「お前のせいで俺まで睨まれてる感覚に陥るんだけど」
「……ごめんなさい」
「うん、いいけどな。つーかさ、お前城ヶ崎さんのこと、好きなの?」
……。
いきなり核心をつくあたりが啓太らしいけど、正直返答に困る。
啓太め。答えづらい質問するんじゃねぇよ、ここには数人の城ヶ崎さんの親衛隊がいるんだぞ。
つーか、これ城ヶ崎さんの親衛隊って長いから略そう
城ヶ崎美咲親衛隊の頭文字を取って、『JMS』にしよう! なんか、かっこいいし!