ハニー*トラブル~君の彼氏はつらいよ~


少し離れた位置にいるのは、お弁当を手に持っている城ヶ崎さんとそのお友達らしき女の子二人。


「あ、おはよう……じゃねぇや、こんにちわ」


笑顔がひきつっていないか若干心配だが、城ヶ崎さんが口元を隠して上品に笑うことによって、それは、杞憂だとわかり、安心する


なんてふわふわした空気だ。


城ヶ崎さんのまわりにお花の幻覚見える。

城ヶ崎さんの笑顔、超癒される。


「あっ!」


後方から男の低い声が聞こえて、肩をギクリと震わせた。

絶対に後ろにいる軍団だ、あの声は! やべぇ、見つかっちゃったよ!


……あれ、なんもしてこない?



振り返って後ろを確認すると、固まったまま動かない男の軍団がいた。



あ、なるほど、城ヶ崎さんがいるから俺になにもできねぇんだ!


じゃあ、あれじゃね、城ヶ崎さんと一緒にいれば俺安全じゃねっ!?

って、これじゃ城ヶ崎さんのこと盾にしてるみたいだけど違うぞ。ちょ、ちょっとだけしてるけどな……?


ちょっとだけだぞ!


「城ヶ崎さん、昼飯まだ食ってない?」

「あ、はい……」

「よかったら一緒に食わない? あ、でも友達と食べるよな……」


やべぇ、作戦失敗した! どーしよ!


足りない頭で真剣に考えていると、視界の端に城ヶ崎さんが大きく首を振るのが見えた


「ううん、大丈夫! ほ、ホントにいいの?」

「え、まじで! 全っ然いいよ」


頬っぺたを赤く染めて嬉しそうに笑う城ヶ崎さんに、俺まで照れてしまう。


城ヶ崎さん、俺なんかのどこが好きなんだろう。まじで謎すぎる



城ヶ崎さんに廊下で待っててもらって、急いで弁当箱をもって、いつも一緒に食ってる啓太に謝った。


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