ハニー*トラブル~君の彼氏はつらいよ~


少しだけ後ろから城ヶ崎さんの顔を覗きこむと、まだ真っ赤になったままの城ヶ崎さんがそこにはいて、驚いた。


覗きこんで勝手に放心してる俺に気づいていないのか、すたすたと歩いていく城ヶ崎さん



やべ、城ヶ崎さんのあの顔、すげー可愛い……。


「松本くん、こっちこっち」


しばらく歩いたところで、急に振り返って俺の腕をぐいぐい引っ張ってくる。


そして、キョロキョロと辺りを見渡したあと、重たそうな扉を開けて、俺を通してくれた



……って、俺、なに城ヶ崎さんにエスコートさせてんだよ!


申し訳ない気持ちになって扉を押さえると、城ヶ崎さんが天使のような微笑みを浮かべて、


「ありがとう」


と言った。


うん、俺のセリフだよそれ。どう考えても。うん。


「……ここ、屋上だよね?」

「うん、あのね、鍵壊れてるみたいで、いけないってわかってるんだけどね、えへ」


そう。ここ屋上だ。


屋上は立ち入り禁止のはずなんだけど、なぜか鍵が壊れているらしく、城ヶ崎さんはちょくちょくここでお弁当を食べさせてもらっているらしい。



意外と城ヶ崎さんも“超真面目!!”ってわけじゃないんだな。なんか安心した。


俺、ヘタレだけど、決して真面目な人間じゃないから、なんか、あまり気遣うことなく接することができそうだ。



硬いコンクリートの上に腰を下ろしながら、弁当を広げる。


俺の隣に座りながら同じように弁当を広げる城ヶ崎さん



淡い水色の小さな弁当箱には黄色い厚焼き玉子と、小ぶりの唐揚げ、真っ赤なタコさんウインナー、そして、ポテトサラダ



弁当まで可愛いなんて、さすが城ヶ崎さんだ。


男の理想を壊さない。



いや、男の理想を壊したとしても城ヶ崎さんならば許せる気がする!!



でもやっぱり、これからも壊さないでいただきたい!


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